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○○ママの好きなこと・大切なこと ママで良かった!と心から思える人を増やしたい

2021年9月6日 公開 / 2024年10月29日 更新

一般社団法人相互支援団体かえりん/代表理事 星野恵さん

2011年、夫の転勤を機に、1歳の長女と共に九州から北海道に移住した星野さん。見知らぬ土地でたった一人、子育てに奮闘する日々でしたが、今では4人の子育てとともに1,000人以上の会員を抱える子育て支援団体を主催しています。

運営メンバーは7名。それぞれが子育てに悩んだ経験を生かそうと支援に励むワーキングママです。(提供写真)

孤独とあきらめの日々から生まれた「おさがり交換会」


ー札幌へ移住したきっかけを教えてください!

九州で生まれ育ち、大学卒業後、保険の営業やベンチャー企業で勤めていました。男勝りな性格なのでバリバリ働き、ベンチャーに入社したのもいつかは起業したいと考えていたのが理由でした。実のところ結婚も出産も考えていなかったのですが、いい出会いに恵まれて、2010年に長女を出産。それから1年後、夫の転勤が決まり、知り合いがほぼゼロの札幌へ移住しました。移住後は子育ても慣れない日々で、孤独感でいつも気持ちがいっぱいいっぱいでした。つらい日々が続きましたが、SNSで札幌のママ達と交流したことが唯一の救いでしたね。

ーそうした経験が「かえりん」設立のきっかけなのでしょうか?
移住から1年が経ったある時、友人が産後うつで亡くなり、大きなショックを受けたんです。自分が助けられなかった事を後悔しましたし、私自身もつらい時期だったので人ごとではありませんでした。同じママとして、助けてあげられたのではないかという想いでいっぱいで...。その後、元々勤めていた保険会社の札幌支店に復職したんですが、どこか気持ちはモヤモヤしたままでした。そんな時、友人が「古着交換会」を開催しているのを目にしたんです。


ー「おさがり交換会」の原点ですか

北海道の冬は九州に比べて暖房光熱費や食費、そして冬服がかなり負担になります。特に子供服はただでさえ買い換えが必要なのに、防寒着やスキーウェアなどはかなりの出費。そこで、子供服に特化した交換会ができないかと思い立ちました。その後、子育て系のイベント会場にいた知らないママにどんどん話しかけて「おさがり交換会」のアイデアを話したら、みんな賛同してくれたんです。そして2016年1月、親しくなったママたちと一緒に、勢いだけで「子育て相互支援団体かえりん」を設立。初の「おさがり交換会」を開催しました。

コロナ前の「おさがり交換会」会場。現在までに19回開催し、累計参加者が3500人を超えている人気イベントです。(提供写真)

親子ファッションショーや講演会、北国専門ファッション誌なども発行。会員を対象にしたマーケティングリサーチなども手がけている。(提供写真)

育児のつらい日々は、自分のための準備期間

ーすごい行動力ですね!
移住して5年間、育児に疲れて自分のやりたい事を諦めてばかり。出産前は起業の夢もあったので「子供がいなければ」と後悔した日々もありました。でも、イベントをやってみて「諦める事にはもう飽きた」と実感したんです。この5年こそ、自分を見つめ直すための準備期間だったのだと確信して、これからは好きな事、社会のためになる活動をやっていこうと決心したんです。

ー初開催後の反響は?
100名を超える来場や、テレビの取材も入り、一気に活動の輪が広がりました。その中で、おさがりが欲しくても、頂いた方に対する「お礼」が負担になるという声を聞きました。また私自身も経験した事ですが、2人目、3人目の子供が欲しいけどなかなか授からない時に、おさがり用にとっておいた服を見ると暗い気持ちになってしまうんです。交換会では入場時に500円を払えば「お礼」がいりません。家計の負担で服を買えないママ、そして気持ちの負担で服を捨てられないママ、どちらのためにもなる「気持ちの循環」ができる事こそ、一番の価値だと気付きました。

ママになる事がプラスになる社会の実現を

ーコロナ禍での変化はありましたか?
以前のおさがり交換会は、まさに「密」の状態で、遅れて来た方は服が手に入りませんでした。昨年は会場を屋外に備え、人数を入れ替え制にした事でみんなに服が行き渡るようになりました。おさがりの回収もそれまでは参加者の持ち込み制でしたが、現在は車での回収や、協力企業に回収拠点を設けて、そこで集める仕組みにしました。

ー今後の目標は?
実は昨年から、プログラミングスクールへ通い始めたんです。おさがりの回収拠点をWeb上で見れたり、情報発信ができたりするページを制作しています。コロナ禍でも発信を強める事で活動を広め、全国に範囲を広げたいというのが短期的な目標です。長期的には、子育てがゼロコストでできるシステムを目指しています。ママになるとお金や気持ち、行動など、あらゆる面がマイナスに感じられる事が多いですが、ママになる事でプラスになる社会を実現させたいです。

2019年には「サッポロスマイルアワード」特別賞を受賞。近年は貧困対策やジェンダー、環境などSDGsの取り組みでも注目を浴びています。(提供写真)

ー新米ママに一言!
私は「夢は叶わない」と思って生きてきました。しかし、諦めなければ案外、叶うものです。子供は親の背中を見て育ちますので、ママが夢を追って実現させる姿を見せる事で、子供も将来、夢を叶える人になれるはずです。ママになると「できない理由」ばかり考えてしまいますが、少し発想を変えるだけで「できる理由」になります。自分の好きな事、夢を諦めなければ「ママで良かった!」と思える日が必ず来るでしょう。

一般社団法人相互支援団体かえりん
代表理事 星野恵さん

Webサイト:https://kaerin.or.jp/
お問い合わせ:info@kaern.or.jp