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○○ママの好きなこと・大切なこと きっちりしていなくても、なんとかなるんです

2021年10月25日 公開 / 2024年10月7日 更新

美容師、バイヤー、ハンドメイド作家/田口恵里さん

美容師として自らのお店「トカ、」を経営しながら、東区にある「ヒシガタ文庫」のバイヤー・ディレクターも勤め、更にユニークな形が目を惹く人形「ikokubito」の製作と、マルチに活躍する田口恵里さん。2児の子育てをしながら好きな事を楽しむ秘訣とは?

田口さんは札幌生まれ。美容専門学校を出て以来、20年以上美容師を勤めています。

職業柄難しい、美容師と育児の両立。


ーまずは簡単に、育児のお話をお願いします

長女は18歳、長男が9歳です。大変だった事と言えばお仕事ですね。長女の時は妊娠8カ月まで働き、生後3カ月後に復帰したんですが、美容師ってちょっと間を空けただけでお客さんが離れてしまうんです。そんな経験があったので、長男の出産後は2ヶ月ぐらいで復帰しました。

ーなかなか両立が大変ですね
仕事が長引いて保育園の迎え時間を過ぎてしまった事が何度か...保育園にバイクで駆け込んだ事もあります。私が普段育児できるのって、夜7時に帰って9時に寝かせるまでたったの2時間なんです。ただ土日勤務や夜も遅くなりがちな私に代わって、都合が合わない日は夫が子どもの面倒を見てくれています。


ーご自身のお店はいつ頃オープンしたのでしょうか?

昨年9月に美容室とか、私の作品とか、素敵な雑貨とか、ものづくりを行う場所として開店しました。「トカ、」の由来はそのまんま、色んな事をする場として名付けました。


ーものづくりはいつから?

うーん、母親が元々いつも何か編んだり作ったりしている人なので、私も気付いたらって感じでしょうか。「よーし作るぞ!」って気合も、商売っ気もないので、いわゆる「ハンドメイド」とはちょっと違うかなぁなんて...。机に材料が置いてあればなんとなく手が動いています。今はあまり作っていませんが、一時期はナップサックをたくさん作っていました。知人からオーダーを受けて作り始めたのがきっかけで、子供用はもちろん大人用を含めると100個以上を製作。東京の人気セレクトショップが開いたハンドメイド作家のイベントにも呼ばれ、何度か参加した事もあります。

民族調の雑貨や手作りのアクセサリーなど、バイヤーとしてのセンスが光るアイテムも販売。

夫婦それぞれで子育てし、それぞれが好きな活動をする。

ー今作ってる「ikokubito(イコクビト)」も今年、展示会をしていたと聞きました
3年ほど前にあるお店から、ギャラリーが空いている期間に「何でもいいから展示したい」とご依頼頂きました。店主のお人柄も、お店の雰囲気も素敵でしたので、私が何か出来る事があればと思い、制作を始めたのがきっかけです。世界の少数民族や伝統衣装をモチーフに、頭にお皿やサボテンを乗せて働く子や手ぶらの働いていない子など、1つひとつ手作りしています。

中国の少数民族・長角ミャオ族がモチーフの「ikokubito」。今年5月に展示・販売会を開催したところ「53人、みんな無事にお勤め先が見つかりました」と田口さん。

ー民族的なデザインや海外の文化に元々興味があったんですか?
デザインから入ったというよりかは、音楽の影響ですね。小学校の時、久保田利伸さんのラジオでジャズやR&B、ヒップホップを聞き、以来ブラックミュージックばかり聞いてたんです。そこからラテン系やカリブ系のワールドミュージックも聞くようになり、海外の文化に興味を持ちました。

ー店内に飾ってあるユニークなオブジェも海外の民芸品でしょうか
国内の民芸品や作家さんの手による作品もありますが、一部は海外に行った時に買ってきた物ですね。お土産がかわいい所を選んで、ぶらぶらと個人旅行をするのが好きなんです。これまでにインド、タイ、カンボジアや台湾、あと娘が小さい時には2人でメキシコに行った事もあります。

ーエッ!よく不安じゃないですね
私は1週間ぐらいのんびりと旅行したいので、夫とは休みが合わず一緒に行った事はないんです。夫も「いいなぁ」と言うぐらいで。たぶん、あんまり興味がないのかもしれません。ただ、両親や娘も連れてカンボジアに行った時は長男がまだ1歳半でしたので、猛暑の中でベビーカーを担いでアンコール・ワットの階段を登ったりと、なかなか大変でした(笑)。世界中どこでも子どもが育って生活してるので、まぁなんとかなるでしょうという感じですね。

ー基本「なんとかなる」ですか?
そうですね、子育てに関してあまりきっちりとルールを決めた事はないですが、子どもはどちらかがきちんと見るようにはしています。夫は仕事とは別に、映画の自主上映グループを主宰していますが、子どもの面倒だけきちんと見てくれたら自由に活動して欲しいので、あまり何をしているか知りません(笑)。お互いの好きな活動に関しても、あんまり干渉はしていないですね。

店内には「ikokubito」の作風ともどこか通じる、ユーモラスな異国のオブジェが並んでいます。

なんとなく似て育つ、子どもの姿。

ーご長男のアイロンビーズの作品、とても小学生と思えない作品ですね
民族柄っぽいので、私が教えたの?とよく聞かれるんですけど、何ひとつ教えていないです。それどころか「ママは反対側から作って」と言われて、下働きしてるだけです(笑)。保育園でアイロンビーズを使った工作を覚えて、私の道具を使って家で作り始めてからハマったようです。色柄も思いつくままになんとなく作っていると言うので、世界各国の民族柄ができたのと同じように、自分の感覚で手を動かしているのかもしれません。

長男がアイロンビーズで作った作品。「自由研究に提出したら、先生達がギョッとするみたいです(笑)」

ー田口さんの「なんとなく作ってる」感覚とも同じですね
ちょっと飽きっぽいのも同じ(笑)。長女もお絵かきが好きで、専門学校で建築を学んでいますけど、私や夫が特別何かを教えた事はないんです。

ー東区にあるお店「ヒシガタ文庫」は立ち上げから関わったと聞きました「ヒシガタ文庫」を運営するダイヤ書房の社長とは、以前からご家族の髪を切らせて頂いていました。そんなお付き合いもあって、親しい人たちとハンドメイドイベントをやっていた時、改装計画のご相談を頂いたんです。その後、親交のあった設計士やデザイナーを紹介したり、店名を決めたり、雑貨や本のセレクトをするなど、色々とお手伝いをさせて貰いました。現在もイベントの企画をはじめ、年に数回東京の展示会に行ってお店で扱う商品を探すバイヤーとしてのお仕事や、お店のミーティングにも参加させて貰うなど、積極的に関わらせて頂いてます。

ユニークな形と色が特徴的なアクセサリーは、次男の作品作りで余ったアイロンビーズを溶かして加工したもの。

ーこれからの目標は?
今のまま美容師をしながら、気ままに自分の作品を作ったり、好きなモノを集めてバイヤーとしてのお仕事をさせて頂ければと思いますね。しいて言えば、社会のためのお手伝いにも力を入れていきたいです。お店で売っている雑貨のほとんどは海外のフェアトレードや貧困支援のために売っていますし、「ikokubito」も売上の一部を国連UNHCR(難民問題の解決に向けた機関)に募金しました。自分の活動がちょっとでも社会のためになればいいなあと思っています。

ー子育ての話...
あっ、ぜんぜんしてないですね(笑)。きっちりしていなくても、見る時はちゃんと見てあげていれば、なんとかなりますし、親が楽しそうに暮らしている背中を見て、子どもなりに成長するんじゃないでしょうか。趣味も子育ても気負わずに、ゆるく続けるのが良いと思います。

ものづくりは空いた時間、音楽やラジオを聞きながら行っているそうです。

美容師、バイヤー、ハンドメイド作家/田口恵里さん

田口恵里さんInstagram(美容室用):@toka.nantoka
Instagram(イコクビト用):@ikokubito
ディレクター、バイヤーを務めるヒシガタ文庫:hhttp://hishigatabunko.com/