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○○ママの好きなこと・大切なこと どんなライフイベントが起きても望む人が望む人生を!!

2021年12月27日 公開 / 2024年10月8日 更新

イロドリトイロ株式会社/代表取締役 新岡 唯さん

今回お話を伺った新岡さんは、2017年に起業し、5歳の長男を育てながら人事系コンサルティングや組織改善、自治体のワーケーション支援など様々な事業を手掛けています。「子育てとの両立のために起業」という人生を歩んだ新岡さんに、働き続けたいママに必要な心がけを聞きました。

▲中学生から親元を離れて生活をしていた新岡さん。その影響で早い段階から独立心が強まっていたそうです

生涯働ける仕事を見つけたい


ーまずは自己紹介をお願いします!

1989年、北海道沙流郡門別町(現・日高町)生まれです。幼い頃から札幌で習い事をしていたので、小学校を出た後は札幌の中学校へと入学し、中・高は親元を離れ生活。高校卒業後は千葉県の神田外語大学へと進学し、英語を学んでいました。

ーなぜ英語を?
実家が競走馬の生産・育成牧場でして、小さい頃から海外の方がよく来ていたんです。ところが私は中・高と英語が大のニガテで、解消したいと思ったのが一つ。あとはディズニーランドのキャストにも憧れていたのも理由ですね。大学とも近かったので、実際にアルバイトもしていたんですよ。


ー今はあまり英語と関係の無いお仕事ですね

在学中はCAを目指す道も考えたんですが、キャリアがうまく描けませんでした。自分が欲しいのはポータブルスキル(=業種や職種が変わっても通用するスキル)で、中でも人を動かす、育てる仕事、つまり人事こそが自分のしたい仕事だと気付きました。


ーいきなり人事、というのも珍しいですね

新卒・未経験で人事が担当できるケースは稀なんです。そこで、東京にあるベンチャー系の人材紹介会社に入社して全力で学ぶ事に決めました。IT企業を中心にエンジニアの転職支援や企業の採用支援を2年半ほど担当し、その後は念願叶って大手のシステムインテグレーターに人事として転職。インフラ系のエンジニア採用に携わっていました。

▲2018年、札幌JC主催のイベントで登壇する新岡さん。子育てとの両立で選択肢が狭まってしまうママに向け「自分のような苦労をして欲しくない」と積極的な姿勢で取り組んでいます(新岡さんご提供写真)

仕事がないから選んだ、起業という生き方

ー出産はいつ頃ですか?
2015年、25歳の時に結婚し、翌年11月に長男を出産しました。大きな会社でしたので産後の働き方等も整備されていて、復職しやすい環境だったんですが、保育園が全く見つからず...。

ーあ、ありましたね。「保育園落ちた」って
ちょうどその前年でしたね。当時私の住んでいた市は待機児童数が常にワースト5位以内に入るほど保育園が見つからない地域でして、近隣の市も全て空きが無く、もう全国探しまくる日々。

ー出産直後からなかなか大変だったんですね
幸い夫も育休を取ってくれましたし、一度寝たら起きない子だったので、思い詰める程ではありませんでした。あとは、育児に関しては「産後ドゥーラ」さんに助けられましたね。ちょうど弟の同級生のお母様が勤めていたという奇妙な縁もあってお願いする事にしました。

ー「産後ドゥーラ」?
欧米発祥の、言うなれば育児に特化した家政婦さんです。食事や離乳食の作り置きはもちろん、育児法の指導...あ、あと夫の指導も(笑)。出産後のママが困っている事を全てやってくれます。首都圏では自治体が支援制度を設けている事もあるんですが、地方までは広がっていないのが現状ですね。

ーなるほど。どうして北海道へのUターンを?
結局、住んでいた地域では保育園が見つからず、札幌の保育園を探していました。そんなタイミングで、夫も勤め先の会社から札幌にある子会社へ転籍してはどうか、という話を頂いていたので、いいきっかけだと思いUターンを選んだんです。保育園も無事見つかり、生後4カ月の首も座っていない長男を抱いて札幌に来たのが2017年3月頃でした。

▲「札幌ベンチャーグランプリ2018」では、「誰もが自分らしくいられる街さっぽろを目指して」と題し、フリーランスの支援やワーケーションをテーマにプレゼン。見事、オーディエンス賞を受賞しました(新岡さんご提供写真)

ーそれから再就職を?
誇張ではなく、100社は受けましたね。子育て中のママを受け入れてくれる正社員の求人が少ない上に、人事は総務や事務の仕事と捉えている企業が多かったんです。特に私が得意としていたのは人事の中でも人事企画という分野で、ある程度の規模の会社で採用や人材教育等の人事計画を立てる事でした。

ーそもそも、中小企業が多いですもんね
生涯働くためのポータブルスキルとして人事の仕事を選んだのに、逆に苦しめられる結果に...。なんとか受け入れてくれたIT企業に就職後、2018年に人事の仕事を委託で受けられる事になり、フリーランスとして独立しました。その後、自治体が主体の「子連れワーケーション」支援事業を始めるにあたり、会社を設立した方が信用性が高まると感じ法人化。更に30歳になったら株式会社化しようと計画を立てました。そんな訳で、元から起業を目指していたのではなく、仕事が無いから起業したんです。

▲「子育て、仕事、自分のどれかではなく、すべてを大切にできる世の中にしたい」と新岡さん

私は私、子どもは子ども

ーITを駆使したワーケーション推進やフリーランス支援、採用支援のほか、ママ向けの事業なども行っていますね
2020年8月「La Salud(ラサル)」という子連れで利用できるコワーキングスペースを作りました。残念ながらコロナ禍も重なり現在は閉鎖しましたが、様々なママに会えた事は非常に勉強になりました。自粛下でしたので、子どもと長く家にいる事でノイローゼになってしまったママ、子どもの発達の遅れを誰にも相談できていないママ...。短い期間でしたが、ママ達が気軽に相談できるような場づくり、システム作りが必要だと実感しました。

ーママが起業するメリットって何だと思いますか?
ギラギラしてると思われがちですけど、思った以上にマイペースに生きられる事ですね。子どもの事で何かあっても周りに気を遣わなくていいので、子育てとキャリアを両立したいという方にはお勧めできると思います。もちろん、会社員として安定した暮らしに戻りたいという時もありますが、未経験でもなんとかなる、チャレンジすると将来につながるという事を起業からの5年間で実感しているんです。

ー子育て中はなかなか描けない人も多そうですもんね
私の母も以前までスーパーでパートとして働いていたんですが、私や妹、弟も全員独立したので「好きな事したら?」と勧めたところ、保育士として働き始めて、今では園長になりました。それも立派な事だと思います。子どもが独り立ちした後、自分に何ができるかを考えて将来を描けば、きっと充実した人生を過ごせるでしょう。ママにはママの、子どもには子どもの人生があると思うんです。

ーありがとうございました

現在、長男は5歳。「遊び盛りで、『クレヨンしんちゃん』まんまって感じです」(新岡さんご提供写真)

イロドリトイロ株式会社
新岡 唯さん

Webサイト:https://irodoritoiro.com/
新岡さんが編集長を務める北海道のIT情報マガジン「Mikketa!!」:https://www.mikketa.hokkaido.jp/