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○○ママの好きなこと・大切なこと ママもハンディがあってもキレイが叶うサロンに

2023年5月26日 公開 / 2024年10月8日 更新

Salon de Katy 森山佳那さん

札幌市豊平区平岸でプライベートエステサロン「Salon de Katy」(@katy_extraction_sapporo)営む1児のママ、森山佳那さん。今年1月のオープン以来ママ達の間で評判のサロンとなっていますが、もともとは会社員でエステで勤めた経験もなかったのだとか。開業のきっかけとなったのは、結婚・出産・マイホームの購入という順風満帆な一家に突然ふりかかったご主人の病。詳しいお話を聞きに森山さんのサロンを訪ねました。

Contents

1.順風満々な一家に突如ふりかかった病。
2.奇跡の生還後、背中を押してくれた夫。
3.今を生きる大切さを、夫が教えてくれた。

順風満々な一家に突如ふりかかった病。

ーとっても明るい雰囲気。以前からエステでお勤めだったんですか?
いえ、実は全くの異業種なんです。札幌の大学を出た後は人気バッグブランドに就職して、パルコやJRステラプレイスのショップで店員をしていました。でもあまり長続きしなくて、これまでは企業の受付などを転々としていたんです。そんな中勤めた職場で夫と知り合い、2019年に結婚しました。

ーご出産はいつ頃ですか?
結婚した翌年の2020年2月に長男を出産しました。その後、念願のマイホームも購入して「これから家族3人で頑張るぞ!」という時に...

ーご主人が倒れてしまったと。
長男がまだ生後5ヶ月の頃でした。その日は夫が私の育児をねぎらい、「自分が子どもを見るから」と私を一人でネイルサロンに行かせてくれた日だったんです。サロンを終えて家へ向かう途中に夫から電話があり、ろれつの回っていない声で「めまいが」と言うので、私は慌てて救急車を呼びました。家に着くと夫は救急車に乗せられ、か細い声で「子どもを頼む」と繰り返し、そのまま意識を失ってしまったんです。
ー原因は?
生まれつきの「脳動静脈奇形(※)」を抱えていて、それが破裂したことで小脳出血を発症してしまったそうなのです。

(※)AVMとも呼ばれる脳の血管奇形。正常な血管に比べて壁が薄く、脳出血やくも膜下出血を発症しやすいと言われている。

ー本当に突然のことだったのですね。
さらにお医者さんの口からは信じられない言葉が飛び出しました。「ご主人は危篤状態です。緊急手術をするけど、助からないかもしれない。助かったとしても、一生の障がいが残ることは覚悟して欲しい」と...。

ー言葉が出ないですね...
当時子どもはたったの5ヶ月。家は買ったばかり。「もしもあの時、家にいたらこんなことには...」と、本当に消えてしまいたいと泣くばかりでした。
その後、手術は無事に成功したものの意識障害が残り、話すことができず、会いに行っても意思疎通がとれないという状態が続きました。私は長男を抱えて病院へ通い、夫を応援し続けるしかありませんでした。

▲Instagramでは病に倒れた時のことや、夫婦でリハビリに懸命に励む姿、現在の姿が記録されています。「周囲の力があって生きていることを伝えたい」と森山さん。※Instagramから引用

奇跡の生還後、背中を押してくれた夫。

ー現在は無事に回復されたのだとか
泣いてばかりいる私の一方で、夫は本当に一生懸命に治療に耐え、リハビリに励んでくれたんです。さらに病院の皆様も力を尽くしてくれたおかげで、半年後には声を発し食事もできるまでに回復し、2021年の1月には退院しました。

ーまさに奇跡的ですね
再び長男と3人で暮らせるなんて夢にも思いませんでした。現在も車いすの生活で高次機能障害を抱えていますが、以前のように話すこともできるようになって、元いた職場にも復帰しているんです。昨日なんて職場の飲み会にも参加していたんですよ。それも二次会まで参加していたんですから(笑)

ーなんと(笑)
夫は経理のお仕事をしていただけあって、病気をする以前には何事にも少し細かい性格でした。でも今はとっても前向きでおおらかになったんです。「人生は一度きり」「今を大切に」と第二の人生を謳歌していて、私も勇気をもらえる出来事がたくさん起きました。

ーもしかして、その影響でサロンを
その通りです。夫の退院後、私も以前の職場に復帰したんですが、「本当にやりたかったことは何だろう」って感じることが多くなって。そんな時、有名なサロン経営者が札幌に来て、エステを開業したい人に向けた講座を開くという情報を知ったんです。でも私の頭には「お金もかかるし、子育てや夫の介助だって...」という思いがありました。でもそんな時、夫は「人生は一度きりなんだから、やりなよ!」って背中を押してくれたんです。

ーとても素敵なエピソード。
それから講座を受けて勉強をし、関係する資格も取得。ハンディキャップを持つ人にも施術するために手話も習い、物件を見つけ、自分の手で改装を行いました。

▲完全プライベートのため1日2組限定ではあるものの、1ヶ月ほど先までほぼ全て埋まってる状況なのだとか

▲店内は子連れやハンディキャップのある方でも来られるよう、工夫をこらしています。

今を生きる大切さを、夫が教えてくれた。

ーご主人の介助と子育ての両立。大変という一言では表せられませんよね。
長男は小さいながらも一緒に車椅子を押してくれたり、助けてくれたりしています。物心付いた時からの車椅子生活なので、この生活が当たり前になっているようです。

ただ私一人で全てこなすことは無理でした。だからこそ「捨てること」を覚えたんです。料理は宅配を頼み、掃除は気になった時にするだけ。あと実は、寝かしつけも当初からしていないんです。
ーなぜですか?
実は夫が倒れた後、私もストレスで眠れなくなってしまって...。でも眠れずにモゾモゾしていると長男を起こしてしまうし、顔を見ていると悲しくなって涙があふれてしまう。そんな状態を解決するために「ベビーカメラ」というのを導入して別々に寝ることにしました。
実は欧米だと寝室は別なのが当たり前のようですね。ベビーカメラは何かあればすぐにアラートで知らせてくれるとても力強い存在です。

ーお客様ともご家庭の話をされるのですか?
今はインスタで夫のことも発信しているので、聞いて下さる方も多いいらっしゃいます。この経験談を話すと、皆さん「自分の悩みなんてちっぽけだった」と、スッキリしてくれるようなんです。まさに、それこそが私がサロンで提供したかったこと。ココに家事・育児の悩みやグチを全部置いて、リフレッシュして帰っていって欲しいんです。
ー今後、予定していることはありますか?
実は入籍後、挙げていなかった結婚式を来月に行うことにしました。夫は式を「自分の足で歩きたい」とリハビリに奮闘している真っ最中。さらに、ハネムーンに沖縄旅行も計画しているんですよ。

Instagramから引用

Instagramから引用

ーこう言って正しいのかわかりませんが、とっても幸せそうですね
夫は時々「病気になって良かった」なんて口に出すんです。私の口からはもちろん「よかった」とは言えません。だけどあの出来事があったからこそ、今自分のやりたいことができている。今を生きることの大切さを、あの出来事が教えてくれたんです。

ー本当に素敵なお話。ありがとうございました!

Salon de Katy
森山佳那さん

森山さんinstagram:@t.m.k.t.1217
「Salon de Katy」instagram:@katy_extraction_sapporo