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2022年11月29日 公開 / 2024年10月8日 更新

北海道放送(HBC)アナウンサー 室谷香菜子さん

青森県青森市出身。HBCのアナウンサーとして13年のキャリアを持つ室谷香菜子さんは、テレビ、ラジオに幅広く活躍する一方、一児の母として子育てにも奮闘中。「一時は産後うつのような状態になって本当に辛かったですね」と笑顔で振り返る室谷さんのこれまでをじっくり伺いました。

Contents

1.夢を諦めかけて遊びに来た北海道で、偶然見つけた採用試験に合格!?
2.生活の変化で「産後うつ」状態。復帰した時にはホッとしました。
3.母親が働く姿を、息子には見せておきたい。

夢を諦めかけて遊びに来た北海道で、偶然見つけた採用試験に合格!?


ーアナウンサーを目指すきっかけは?

放送業界には興味を持っていましたが、初めからアナウンサーになりたいと思っていたわけではありませんでした。高校卒業後は地元の大学に進み、たまたま知り合いの紹介で青森のテレビ局でアルバイトをしないかと誘っていただいたのが、この世界で働きたいと思ったきっかけです。スタッフや技術さんたちにとても良くしていただき、アナウンサーというより放送局で働きたいという気持ちのほうが強かったですね。

ーアナウンサーは狭き門だと聞きます。
地方に住んでいた私にとっては就職活動自体がとても大変でした。名だたる放送局は一通り受けたのですが、1次試験、2次試験と試験を受けに行くだけでも金銭的負担が小さくなく...。結果もすべて不採用だったので、諦めて一般就職に切り替え、地元の金融機関からは内定もいただいていました。


ーHBCを受けるつもりはなかった?

実はそうなんです。その頃、父が札幌で単身赴任をしていて、そこに遊びに行こうとした時に偶然HBCの採用情報を見つけました。最後のアナウンサー採用試験だと、それまでよりは楽な気持ちで受けてみたところ、結果的にご縁があったようで採用となったんです。
ー新人時代の思い出を聞かせてください。
その頃、HBCには女性アナウンサーが少なく、入社したらすぐに番組を担当しなければいけない感じだったんです。なので、いきなり実戦で、何もかもやりながら覚えていきました。

加えて私は大学まで親元で暮らしていたので、一人暮らしをするのも初めて。恥ずかしながら料理や洗濯などの家事もまともにやったことがありませんでした。特に料理が苦手で、当時手作りのハンバーグをブログに載せたところ、リスナーさんからたくさんのメールが...。今でも「ブサイクハンバーグ作ってたよね」と言われます(笑)。

ー青森出身ということで話題になったとか?
ラジオで朝の帯番組を担当することになって、ニュースを読んでいたら「アナウンサーなのに訛ってる!」って、リスナーからたくさんメッセージが届いたんです。自分では直したつもりだったので、指摘を受けた時は、正直ショックでしたね。

ただ、当時の番組ディレクターはそのことを怒るのではなく、「それは室谷の個性だから」と言ってくれたんです。リスナーの中には私が青森出身だと知って「私の家系も青森がルーツなんですよ!」と、かえって応援してくださる方もいて、それから私の中の「青森DNA」を大事にしていこうと思うようになったんです。

HBCラジオの人気朝番組「朝刊さくらい」を担当していた頃の室谷さん(提供写真)

生活の変化で「産後うつ」状態。復帰した時にはホッとしました。

ー30歳で結婚、31歳の時にお子さんをご出産されました。
初めての育児は正直、想像以上に大変でした。主人は仕事で家を空けがちだったので、里帰り出産をしたのですが、出産後の生活の変化に気持ちがついていかず、「産後うつ」のような感じになってしまったんです。昼も夜も眠れなくなり、母乳もあげられなくなってしまいました。母が抱っこしている時は落ち着いているのに、私が抱っこすると泣き出したりするので、余計に自分には育てられない...という気持ちにもなって。あの時は相当落ち込みました。

ーかなり苦しい経験をされたんですね。
育児を甘く見ていたんですね。子供が生まれて可愛いとか、離れたくないとか、そういうキラキラした部分だけを見ていたというか。実際は「私、育児に向いていない」と思う日々でした。

札幌に戻ってしばらくは友人や同僚が訪ねてきてくれて、気持ちも持ち直したんですが、生後5カ月ぐらいから夜泣きが始まって、また眠れない日々に逆戻り。おまけに当時主人は単身赴任で、マンションには子供と二人きりでした。「私はまた前のように働けるのかな?」「ほんの少しでいいから一人の時間が欲しい」と思いつつも「けど、こう思うっておかしいの?」と自問自答を繰り返したり、気持ちは不安定でしたね。
ー仕事に復帰されたのは?
子供が10カ月になった時です。仕事をしている間だけは育児から開放されるので、背中に羽が生えたような気分でした。子育て中は目の前の命に対して全責任を負うプレッシャーがありますが、会社ではそういったものはありませんよね。ゆっくり座って、ランチもできて、当時は仕事中が少しホッとできる時間だったのかもしれません。

ーお子さんももう4歳とのことですが、仕事との両立のコツは?
育児も仕事も頑張りすぎないってことだと思います。完璧な両立は不可能。無理をすれば、どうしてもイライラしちゃいますし、イライラすれば子供にあたってしまいます。だから、自分が機嫌よくいられることを重視して、もうダメかもと思ったらさっと諦める。料理は作らず外食にしたり、洗濯物が溜まっていても次の日にまわします。

「今年4歳になった息子はゲームキャラがお気に入りなんです」(提供写真)

ー適度に手を抜くことって大事ですよね。
息子も最近は、脱いだ服を洗濯機に入れたり、食べ終わった食器を台所に持っていったり、ちょっとしたお手伝いをしてくれるようになったんです。できたときは「わー、すごい!できたねー!」って大げさに褒めて、その気にさせて。この頃は主人よりも「戦力」として期待できるくらいです(笑)。

母親が働く姿を、息子には見せておきたい。

ー親になって自分が変わったと思う部分は?
街を歩いていると「ベビーカーってこんなに多いんだ...」と気づくようになりました。それまでは視界に入っていても、意識を向けていなかったんだと思います。地元青森のねぶた祭りでも、跳人の中に抱っこひもで赤ちゃんをおんぶしている人やベビーカーを押しながら踊っている人がいてびっくり。若い頃はぜんぜん気づかなかったので、子供が生まれて、見える世界が変わったんだと思いました。

あと、息子は昆虫が大好きなので、虫にはかなり詳しくなりました。もともと超インドアで、虫も嫌いだったんですが、今では珍しい虫を見つけると、息子がいなくてもテンションが上っちゃうくらい(笑)。素手でも平気で捕まえられますよ。

夏は家族でキャンプを楽しむほど、アウトドア派になったそう(提供写真)

ーHBCでは久々のママアナウンサーだとか?
そうなんです。かつて在籍していた先輩以来、約20年ぶりに私と、同期の堰八アナがほぼ同時にママアナウンサーになりました。私たちは子供が生まれても当たり前のように仕事を続けるつもりでしたが、それぞれの事情もありますからね。

ただ、これから出産を控えている人で、仕事を続ける気持ちがある人には、ぜひやってもらえたらと思うんです。両立の大変さはありますが、それは案外なんとかなるもの。これから、10年、20年先には今以上に、女性が働き続けることが当たり前になると思うので、息子には母親が働いている姿を見せることも大事かなと思っています。

ー記事を読んでるママ&プレママにメッセージを
私自身もそうでしたが、さまざまな事情でほぼ一人で子育てをしなければならない人は、きっと少なくないですよね。そういう人が内に籠もったり、自分を責めたりする状況を、なんとか無くすことができればと思うんです。子育てってキラキラした部分だけではないし、くたびれるし、家事もいい加減になるし(笑)。でも私がラジオでありのままに話して、「あの人もそうなんだ!」となれば、少しは気が楽になるかなって。一緒に大変さを分かち合いましょうって声を、この仕事を通して届けていけたらと思っています。

ラジオ番組「AfterBeat」の打ち合わせ風景。パーソナリティはシンガーソングライター金子智也さん

北海道放送(HBC)アナウンサー
室谷香菜子さん

室谷さんInstagram:@hbc_muroyakanako