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○○ママの好きなこと・大切なこと ママと子どもの居場所づくり

2023年6月16日 公開 / 2024年10月8日 更新

byme キッチン担当 加茂凪彩さん

今回お話を伺ったのは、今年5月中島公園近くにオープンした紅茶の喫茶店「byme(バイム)」でキッチンを担当する「なぎ」さんこと、加茂凪彩(なぎさ)さん(@nagisa_byme)。お店で1歳の長女を育てながら働いています。共にお店を開いたオーナーの「ずーちゃん」こと水野莉穂さんとの友情やご自身の子育て、お店の将来についてたっぷりとインタビューしました。

Contents

1.慣れない街での育児に苦労した出産後。
2.理想の子育てをめぐり、たどり着いた答え。
3.小さな"社会での子育て"が生まれる場所に。

慣れない街での育児に苦労した出産後。


ーまずはお店を開くまでの経緯から伺います。オーナーの水野さんとは、もともとお友達なのだそうですね。

千歳の高校に通っていて、ずーちゃんとは高校2年生の頃からの同級生です。私はマジメで頭が固いですが、ずーちゃんは「なんとかなる!」が口癖。正反対な性格なのに、なぜか気が合ったんですよね。

ー高校卒業後は別々な進路へ?
私は高校生の頃に親戚が病気にかかったことをきっかけに看護師になることを決めて、室蘭にある看護専門学校への進学を選びました。一方のずーちゃんは札幌の北海学園大学へ。離ればなれにはなりましたが、時々会ったり、電話をしたりして交流はずーっと続いていました。

▲オーナーの水野さん(右)は大学卒業後、恵庭で「紅茶の喫茶店 アグラクロック」を開業。「場づくり」をテーマにさまざまな活動を行ってきました。

ー札幌へ来たのはいつ頃ですか?
看護学校卒業後はそのまま室蘭で看護師として就職しました。夫とも室蘭で知り合い、3年の交際を経て結婚。札幌へ引っ越してきたのはその後の2021年頃です。

ーなぜお引っ越しを?
実は夫が旭川出身、私は北広島市の出身で、室蘭にはお互いにゆかりが無かったんです。もちろん室蘭は良い街ではありましたけど、互いの実家も遠くて、子育てのイメージが付きにくいのが正直なところでした。
将来について何度も話し合いをする中で「一生に一度の人生だからこそ、自分たちの望む場所で子育てをしたい」という結論になり、互いの実家の中間に位置していて、仕事の選択肢も幅広い札幌への移住を決意したんです。
ーお仕事はすぐに見つかった?
私は看護師という職業柄、働き先に困ることはあまりありませんでした。一方で、夫は他職種への転職になったので、苦労もあったと思います。引っ越してすぐに妊娠がわかり、さまざまな変化が一度に訪れました。

ーそして出産を迎えられたのですね
妊活中から100%2人で育児をしようと話し合い「2人で育てられないのなら子どもを産まない」と強気な発言までしていたんです。でも、いざ出産すると、夫は転職したばかりで仕事が忙しく、私は理想が高すぎてすれ違う日々が続いてしまって...。

ーそこですれ違ってしまう夫婦は多いですよね
今思えば、夫なりにやっていてくれたと思います。けれど自分に余裕がなくて、勝手に期待してばかりいて、周囲に当たるばかり。「一度きりの子育てなのに、夫婦仲良くなれないなんて」というモヤモヤを抱えたまま気づけば半年が経ち、産後うつに近いような状態になってしまいました。

理想の子育てをめぐり、たどり着いた答え。

ーコロナ禍もありましたし、引っ越したばかりというのも辛かったのではないでしょうか
正直、札幌ってこんなに子どもを連れて行ける場所がないんだと思いました。ただ、苦しい思いをしている状態なのは自分だけじゃないはず。そう思った時に、看護師になった原点でもある「助けたい」という思いが強くなったんです。

ーそれがお店づくりにつながった
そうです。また同時に子どもが1歳を迎えようとしている頃で「まだまだ一緒にいたい」という気持ちが強くなった時期でもありました。でも、乳幼児の子どもを連れて働ける職場ってほとんどありませんよね。そんなことを何気なくずーちゃんに話したら「なら私が作ってあげるよ!」と言ってくれたんです。

▲この物件はもともと、ずーちゃんのお知り合いが営んでいたゲストハウス。コロナ禍で閉業してしまい、引き継ぎの話が舞い込んでいたタイミングだったのだとか。

ーとても心強い!
私はこういう性格なのではじめは、娘を連れて働くことが正直不安でしたね。でも、ずーちゃんは「何とかなるよ!」とグイグイ進んじゃうタイプで、その力を信じていたので「まずはやってみようか!」って(笑)。元々、ぼんやりと「老後はカフェなんてやりたい」なんて夫と話していたこともあったので、思い切って話に乗ってみることに決めました。

ーたしかに真逆の性格ですよね
私は心配性なので、1人だったら絶対にお店を開けなかった。ずーちゃんには本当に、感謝しかありません。彼女は私に見えなかった景色を見せてくれました。
それにお店づくりもこんなオシャレにはできませんし、心配性なのであらゆる所にクッション材を貼ったのではないでしょうか(笑)。ただ私はママにしかない目線、私の目線でお店づくりに集中することにしました。

▲お店には加茂さんの目線でベビーベッドや授乳室を備えています。

小さな"社会での子育て"が生まれる場所に。

ーお店での育児するというアイデアもすごい。不安はなかったのでしょうか?
もちろんありましたけど、2人いたらどちらかが子どもを見られるし、こんな風にオープンなつくりなので、訪れたお客さんも見てくれるのではないかなって思いました。この店で働いてから、私は「パートナーや家族以外と子育てする」という「実証実験」に入ったんです。

ーおふたりのかけ合いも楽しいし、ずーちゃんの天性の馴染みやすさ。すぐにお客さんと仲良くなれそうですもんね。
ずーちゃんは周囲の人とすぐに仲良くなって、みんなを一つにするような「なじませ力」があるんですよね。もともと友達も多いから、オープンしたてでも満席になるほどたくさんの人が来てくれました。

▲見ているだけで微笑ましい仲のおふたり。

ー実際にお客さんは子どもを見てくれている?
遊んでくれますね。他にも私の手が空いてなかったら、みんなで食器を片付けたり、手伝ってくれたり。
ー今はお料理をご担当ですよね。もともとお好きだったのでしょうか
大好きなんです。幼い頃から母の料理を手伝ったり、自分でも料理をしたりしてきました。フライパンを握ってると全てを忘れちゃいますね。

ーでは今のところ「実証実験」は成功ということですね
家にずっといるより体力的には疲れますけど、社会に踏み出せたことが本当に良かったですね。色んな人と話しているうちに、自分が「ママ」という役割にとらわれなくなりました。こんなにのんびりと人と話したのも、いつぶりだろうとも。
ーこのお店をどんな風にしていきたいですか?
店名である「byme」の由来は「わたしによって作られる一日」。幸せな一日を過ごして欲しいという願いが込められています。ママと子どもだけをじゃなくて、全ての人が救われるような場所であって欲しい。そして訪れた人同士でコミュニティが生まれるといいなと思います。

ー「ママカフェ」「子育てカフェ」とすると、子どものいない人は入りにくいですもんね。
ずーちゃんが恵庭の「アグラクロック」で築いてきたような幅広いコミュニティに、ママ・パパ・子どもが融合する形でしょうか。社会人や学生の中に子育て世代が混ざって、育児への理解が進む。そんなイメージを抱いています。

▲大きなテーブルを囲んで座り、初めて訪れた人も話しやすい形になっています。

ー社会にとっても実証実験ですね
「社会での子育て」と言うと凄く敷居が高いように聞こえますが、ここが、その小さなはじまりになるといいなって。みんなが、子どもを見たり、ママにやさしい気持ちを抱いてくれたら、苦しむ子育て世代が少しでも減るんじゃないかなって感じています。

ーありがとうございました!

byme キッチン担当
加茂凪彩さん

加茂さん instagram:@nagisa_byme
byme instagram:@byme.81