▲奈美さんは中学の吹奏楽では後輩を指導したり、高校のダンス部では自らダンス教室に通って技を身に付け、講師役も勤めたりと、昔から率先して行動に出るタイプだったそう。
ー「産後ケアホテル」をつくろうと思ったきっかけは?
奈美さん:夫が自営業で全国を飛び回っている影響から、出産後すぐからワンオペ育児に追われたんです。寝不足で食べる暇もなく、体力もなく、逃げたくて仕方がありませんでした。気付けば真冬のベランダに裸足で立っていたことも...。そんな心身ともに限界の生活を送っていたある日、ネットで産後ケアホテルのことを知ったんです。
ーでも、北海道には一軒も無い...
奈美さん:そう知ってガッカリしました。でも「無いなら私が作らなきゃ」という使命感につき動かされて。調べたところ産後うつにかかるママは10人に1人、さらに産後1年未満の女性の死因第一位が自殺だということが分かったんです。この悲しい現実を変えたいと、すぐにインスタで発信をスタート。産後から4、5ヶ月頃だったかと思います。
ーそこに連絡したのが美里さんだとか。
美里さん:私は看護学校を卒業してから16年間、総合病院で助産師をしていました。その間、双子姉妹と長男の3児の出産・育児を経て「もっと産後ケアに力を入れたい」と思うようになったんです。けど勤め先は組織が大きい分、自分では変えられない面がどうしてもあって。そんな時に奈美さんの投稿を見つけたんです。
ー「これだ」と。
奈美さん:現役の助産師なんてとっても心強い存在。それからすぐに会って、ね。初対面で意気投合したんです。
美里さん:わざわざスライドを作ってプレゼンしてくれてね(笑)。すごい行動力と熱意だなって。彼女の想いに背中を押される形で、長年勤めた病院を退職しました。現在はフリーランスの助産師としても活動しています。