ー約15年間、保育士をされていたんですね
そうですね。札幌市内の保育園で4園勤務した経験があります。中でも2つの園が、保育士としての価値観に大きな影響を与えてくれました。
ーそれぞれどんな園だったのですか?
1つは、園児の身体や心の発達に力を入れている園で、五感を使う遊びが多かったんですね。泥遊びで身体全体の感覚を磨いたり、虫にふれて好奇心や創造力を養ったりと、私から見て魅力を感じる園でした。「子どもはどういうことがきっかけで心や身体が発達していくんだろう?」と、考えさせてくれたのがこの園です。
ー魅力的な園ですね
一方の園は、世の中にはさまざまな事情を抱えるご家庭や保護者の方がいるということを知りました。私自身は母から、目いっぱいの愛情を受けて育ったと自負できるほど、大事にされていることを実感しながら育ってきたんですよね。ですがこの園では、世の中にはそうじゃないこともあるんだというのを痛感する出来事も相次いで…。
ーそうなんですね…
「この世に生まれてきた子どもの笑顔を守ってあげたい」という気持ちが、この時に芽生えたんです。漠然と「保護者の方も子ども達も笑顔になれるようにサポートしたい」と、思い始めましたが、当時はすぐに行動に移すことはできず、モヤモヤした気持ちを抱えながらその後も働いていました。