子育ての大変さ、持病のつらさにも理解のある「神職場」【フードD365虹ヶ丘食彩館】

たまたま家の近くで募集していたレジスタッフとして働き始めたのが16年前。娘が生後6カ月のころですね。高校生のころからアルバイトをしてきて、結婚してからも働かない期間がなかったので、ちょっと早いかなと思いつつパートとして働き始めました。今はフルタイム勤務です。

うちの店は当時から子育て経験のある年配の女性スタッフが多くて、急な発熱で保育園から電話がきた時や、学校行事で出勤できない時も、「自分たちもそうだったから」と言って快く受け入れてくれていました。店長も含めてみんな地域のことを理解していて、直前に娘の小学校の予定が入っても「ああ、あそこの小学校は昔から急に連絡が来たりするから」なんて言ってくれたり。本当にありがたかったですね。

今や娘も高校生。今度は私が恩返しをする番だと思っているので、子育て中かどうかに関わらず、新しいスタッフが入ってくると必ず連絡先を交換するようにしています。急に休まなければいけなくなった時には連絡をもらって、誰か代わりのスタッフを探したり、見つからなければその日いるメンバーで頑張ろうってみんなに声をかけたりしています。誰かに言われたわけではないんですけどね。子育てで大変だった時期に助けてもらってきたので、自然にそうしようって思ってやっています。きっと歴代の先輩方もそういう気持ちだったんじゃないかなと思います。

実は娘も最近、同じ店で働き始めたんです。それも、同じレジ部門で。周囲のスタッフの雰囲気が良いせいか、娘もすっかり馴染んでいますね。レジって難しそうって言う人もいるんですけど、高校生でも数日で覚えられます。だから初心者の方やブランクがある方でも始めやすい仕事だと思いますね。もしも新しく入ってきた人がいたら、私が優しく教えます。

娘が同じ店で働いているのは、単純に私ととても仲が良いからというのもあります。子育てと仕事を両立する上で、小さな子どもを置いて働くということに気持ちの上で迷う人も多いですよね。でも大丈夫です。仕事で離れている時間があっても、子どもを優先すべき時に優先していれば、良い親子関係を築いていくことができると私は思います。それがかなう職場だったことは、本当に幸運だったと思いますね。

「何のために働いているのか」って聞かれたら、自分自身が自立した大人でいるためというのもありますが、娘と楽しい時間を過ごすためというのが大きいかもしれません。私も娘も漫画を読むのが趣味なので、休日は娘と本屋さんに行ったりします。娘といっしょに応援している声優さんがいて、「推し活」もしているんです。親子の時間を大切にするためにも、この先もここで元気に働いていけたらなと思っています。

子育ては落ち着いてきたんですけど、実は昨年、私自身のヘルニアが悪化して、首から肩を痛めてしまったんです。ちょっとの動作も痛くてつらいという状態になってしまって。痛みと通院のために出勤が難しくなって、いっそのこと仕事を辞めようとも思って。それで店長に電話で相談したんです。そうしたら「何もできなくても良いから出てくるだけ出ておいで」って。言われるがまま出勤したんですけど、やっぱり首も肩も痛くて前のようにレジを打つことはできなくて。でも何もしないのもなあと思って、できる範囲で手を動かし始めたら、治療のおかげもあってか徐々に体が動かせるようになっていったんです。結局そのまま辞めずに、完全復帰。思い返すと、あの時の店長の言葉がなかったら、同僚にも申し訳なくなって辞めていたかもしれません。

50代60代の人もたくさん働いている職場なので、病気や怪我、入院などに理解があるということにはみんな感謝していると思います。若いスタッフでも難病を抱えている人もいて「他ではなかなか雇ってもらえなかったけど、ここでは働きながら治療もできる」って言って、うちの店を「神職場」と呼んでいます。確かに土日や祝日も営業日なのでスーパーで働くのって大変だなって思う人も多いかもしれませんが、うちの店は一生を通して働きやすい、人を大切にしている職場だなと思います。ちょっとでもここで働きたいと思ってくれる人がいたら、ぜひ来てもらえるとうれしいです。