結婚を機に、新しい分野の道へ。
幼い頃から看護の道へという思いがあり高校卒業後は看護学校へ。最初の就職は整形外科の病棟勤務でした。結婚を機に老年対象の訪問看護という道を選びました。新しい分野の看護に挑戦したかったこと、さらに子育てとの両立がしやすいことも大きな要因でした。
そこで訪問看護の基礎から応用までを幅広く学んだ後、長男を出産。一年の産休を経て今度は小児の訪問看護の分野に飛び込んでみました。「どんな看護師がどのような思いを抱いて働いているのだろう」それを知りたいという思いが強かったですね。
看護に当たるのは難病を抱える子どもがほとんど。心が押しつぶされそうになる経験もしましたが、その一方で家族のさまざまな場面に出会い、喜びや感動を共有できる訪問看護という職業の尊さを実感しました。
同時に自らの仕事に誇りを持ち、冷静さを失わず常にベストな判断と対応を繰り返す先輩たちに尊敬の念も抱きました。
訪問看護だからできる、人生への寄り添い。
小児の訪問介護を10年ほど経験した後、さらに高い次元で経験を生かしたいとの思いから当職場へ転職。現場スタッフとしての業務経験を経て所長となりました。
当ステーションの看護師が訪問するのは、このサ高住内の利用者様のお部屋のほか、中央区および隣接する区に住む個人宅など。血圧や体温計測などのバイタルチェック、薬や食事の管理、リハビリが主な仕事です。一人で行くのは不安じゃない?とよく聞かれますが、本人やそのご家族が看護についてアドバイスをしてくれます。さらに担当医や他の看護師とも細かな連携を図っているため、心細さは全くありません。
作成されたケアプランにもとづいて20分から90分の訪問を行います。一人の高齢者と向き合い、心のこもった対応を提供できるのが訪問介護の最大の魅力。何気ない世間話から、これまでの人生、家族のこと、今後に寄せる思いなどさまざまなお話をする機会もあります。皆さん人生の大先輩なので、学ぶことがとても多いんです。
何より励みになるのがご本人や家族から頂く感謝の言葉。互いの人生のひとときを共有しているという思いがあるから、余計うれしく感じるような気がしています。
子育て中の主婦や復職したい看護師に最適。
かつての訪問看護は献身的なベテランたちの職場というイメージでしたが、今は環境や制度が整えられ、やりがいとプライベートの両方を大切にできる、恵まれた職業になっていると思います。
例えばこのステーションの場合、出勤は毎朝8時半で18時前には退勤します。急変対応を除けば、残業・休日出勤はありません。1日の訪問時間は、移動時間や記録を考慮して調整されているので、病棟看護と働き方は変わってきます。場合によっては直行や直帰が認められていたりもするので、自分の趣味やプライベートの時間と上手にバランスを取ることもできます。
またうちのようにパートでの勤務や、産休制度などを整えたステーションも増えているようなので、子育て中の主婦、復職を考えている方などにも向いていると思いますね。
これまで訪問看護の最前線で働いてきましたが、そろそろ後輩を育てる時期に来ているような気がしています。一人でも多くの看護師に、この職業ならではのやりがいや感動、そして驚くほど働きやすくなった環境を伝えていこうと思っています。